固有語は、漢字語ではない、朝鮮語本来の語彙です。日常会話の芯になる語が多く、体の感覚、家族、自然、基本動作、形容のような「生活の手触り」を担います。
たとえば、
食べる 먹다、飲む 마시다、見る 보다、行く 가다、来る 오다、する 하다、ある 있다、ない 없다、良い 좋다、悪い 나쁘다、暑い 덥다、寒い 춥다、速い 빠르다、遅い 느리다、重い 무겁다、軽い 가볍다。名詞なら、ごはん 밥、家 집、水 물、火 불、風 바람、空 하늘、海 바다、山 산、木 나무、花 꽃、雨 비、雪 눈。体の語は手 손、足 발、目 눈、耳 귀、口 입、鼻 코、心 마음。家族語は母 엄마、父 아빠、祖母 할머니、祖父 할아버지。数も固有語がよく使われ、ひとつ 하나、ふたつ 둘、みっつ 셋、四つ 넷、五つ 다섯、六つ 여섯、七つ 일곱、八つ 여덟、九つ 아홉、十 열のように、
助数と相性が良い形で生きています。
漢字語の数字一、二、三は 일、이、삼として別に存在しますが、使う場面がきれいに分かれます。
学習上は、固有語は「動詞と形容詞」「身の回りの名詞」「固有数詞」の順に固めると、会話の骨格が早く立ちます。
次に、韓国語の漢字音で「読みが複数ある例外」をどう捉えるかですが、実は多くが「同じ漢字が気分で読み分けられる」というより、語頭位置で起きる音の交替が原因です。いわゆる頭音法則で、語頭の ㄹ が ㄴ になったり、語頭の ㄴ が ㅣ・ㅑ・ㅕ・ㅛ・ㅠ 系の前で脱落して 0 になったりします。その結果、日本語話者から見ると「同じ漢字なのに読みが二種類ある」ように見えます。代表例だけ、確実なものを整理します。
来は本来 래 ですが、語頭では 내 になることが多く、未来 미래、来年 내년のように揺れます。両方とも同じ漢字の系列です。
労は 로 が語頭で 노 になり、労働 노동、勤労 근로のように現れます。
論は 론 が語頭で 논 になり、結論 결론、討論 토론、理論 이론の一方で、論文 논문のように出ます。
率は 률 が語頭で 율 になり、確率 확률、法律 법률、出席率 출석률の一方で、効率 효율、比率 비율のように出ます。
列は 렬 が語頭で 열 になり、整列 정렬、配列 배열の一方で、熱列の熱ではなく、熱心のような別系列と混同しないよう注意しつつ、列車 열차、列挙 열거のように出ます。
六は 육 が語頭で 륙 になることがあり、六月 유월と六・陸系の語(大陸 대륙)のように形が分かれます。
女は 녀 が語頭で 여 になり、女性 여성、女子 여고생のようになります。
李のような姓は本来 리 系列が語頭で 이 になり、李 이、利用 이용のように現れます。
金は基本の漢字音は 금ですが、姓としては 김が定着しています。これは頭音法則というより、固有の慣用として押さえるのが安全です。
つまり、例外を「丸暗記の例外集」にするより、「語頭で起きる交替パターン」として持つ方が、予測に使える知識になります。読みが二つあるのではなく、位置で姿が変わっている、と理解すると整理がつきます。
漢字語を使って単語を予測するコツは、単語を一気に覚えに行かず、分解と再構成を習慣にすることです。やり方は次の流れが安定します。
まず、見た単語を二字か三字のブロックに切ります。韓国語の漢字語は二字語が非常に多く、ブロック化が当たりやすい。次に、各音節を「漢字音っぽいか」「固有語っぽいか」で見分けます。漢字音は、子音と母音の形が似たものが繰り返され、語尾が ㅁ、ㄱ、ㄴ、ㄹ で閉じることが多い。固有語は活用語尾が付いた形や、独特の語幹が目立ちます。漢字音らしければ、その音節が担う意味の範囲を一つだけ仮置きします。たとえば 학は学、문は文、경は経、정は政・正・情のように候補が広がりがちですが、ここで大事なのは「候補を増やしすぎない」ことです。まずは頻出の意味一つに寄せて仮説を立て、次の音節で絞ります。
次に、頭音法則の適用を機械的に行います。語頭の ㄹ と ㄴ の交替、률と율、론と논、래と내のような型を当てはめ、同じ語根だと見抜きます。これができると、見慣れない語でも「見た目が違うだけで同族」と気づけます。ここで、既知語と結びついた瞬間に記憶が定着します。未知語を覚えたのではなく、既知の語根の組み合わせを一つ増やした、という状態になります。
“音の変換規則”を理解して暗記量を減らす具体的方法は、学習メニューを「単語」ではなく「語根」に寄せることです。実務的に効く手順を、日々回せる形でまとめます。
最初の段階では、頻出の漢字音を三十個ほどに絞って、音と意味の核だけを固めます。学 학、校 교、文 문、語 어、電 전、気 기、経 경、済 제、政 정、法 법、会 회、社 사、国 국、人 인、心 심、力 력、学習の学に戻るようですが、この程度の核でも新聞見出しの解像度が上がります。ここで重要なのは「一音一義」ではなく「一音一核」です。正確な漢字一字まで固定しなくても、意味領域の中心が掴めていれば予測に使えます。
次に、その語根を必ず二字語で増やします。たとえば 경は 경제、경험、경쟁のように、同じ語根が別の語根と結びついた例で覚えます。三語ずつ、短い例で十分です。語根は単体で暗記すると揺れやすいので、必ず結合形で持ちます。
次の段階で、頭音法則を「ペア」で覚えます。率は 률と율、論は 론と논、来は 래と내、労は 로と노、列は 렬と열。ペアで持つと、初見語の見た目に惑わされません。ここは例文を一つずつでよく、たとえば 효율と 확률、논문と 토론、미래と 내년、노동と 근로、열차と 정렬のように「同族だが姿が違う」を体感できる組み合わせが効きます。
その上で、実戦は「予測してから確認」の順にします。いきなり辞書を引くと、予測回路が育ちません。見出しや短文を読み、二字に切り、語根の意味を仮置きし、頭音法則を当て、全体の意味を一度作ってから辞書で答え合わせをします。外れたら、その外れ方を記録します。外れの多くは、同音異義の取り違え、固有語の混入、語根の意味領域の取り違えのどれかです。原因が分かれば修正は早いです。
最後に、記憶の作り方を「単語帳」から「語根帳」に変えます。カードを作るなら、表に 단語 하나、裏に分解と語根の意味、頭音法則が絡むならその注記、例語を二つ。これだけで、同じ努力が何倍にも増幅します。漢字語の学習は、点を増やすより、線を増やす方が伸びます。語根という線で結ぶほど、未知語は「初めて見るのに、だいたい分かる」側に寄ってきます。
もっとわかりやすく
固有語、例外の漢字音、予測のコツ、音の変換規則を、カタカナ補記つきで、順番に噛み砕いて説明します。難しい理屈は後ろに回し、まず「見た瞬間に使える形」に寄せます。
固有語は、漢字と関係なく、もともと朝鮮語にあった単語です。会話の中核になるものが多く、まずここが土台になります。
基本動作の固有語
하다(ハダ)する
가다(カダ)行く
오다(オダ)来る
보다(ポダ)見る
먹다(モクタ)食べる
마시다(マシダ)飲む
자다(チャダ)寝る
일어나다(イロナダ)起きる
주다(チュダ)あげる
받다(パッタ)もらう
좋다(チョタ)良い
나쁘다(ナップダ)悪い
크다(クダ)大きい
작다(チャクタ)小さい
덥다(トプタ)暑い
춥다(チュプタ)寒い
身の回りの固有語
집(チプ)家
밥(パプ)ごはん
물(ムル)水
불(プル)火
바람(パラム)風
하늘(ハヌル)空
바다(パダ)海
산(サン)山
나무(ナム)木
꽃(コッ)花
비(ピ)雨
눈(ヌン)雪、目(文脈で判断)
손(ソン)手
발(パル)足
입(イプ)口
코(コ)鼻
귀(クィ)耳
마음(マウム)心
固有数詞の固有語
하나(ハナ)1
둘(トゥル)2
셋(セッ)3
넷(ネッ)4
다섯(タソッ)5
여섯(ヨソッ)6
일곱(イルゴプ)7
여덟(ヨドル)8
아홉(アホプ)9
열(ヨル)10
漢字語の数字も別にあって、これは漢字語です。
일(イル)一
이(イ)二
삼(サム)三
사(サ)四
오(オ)五
ここまでで、固有語が「生活の基本語」だと掴めれば十分です。
次に、「同じ漢字なのに読みが変わる」ように見える例外を、いちばん分かりやすく言うとこうです。
語の最初に来ると音が変わることがある。これが頭音法則です。
難しく聞こえますが、覚えるのはパターンだけです。
パターンA ㄹ(リウル)が語頭で変わる
本来は ㄹ で始まる漢字音が、単語の先頭に来ると ㄴ(ニウン)や無音っぽくなることがあります。
来 래(レ)と 내(ネ)
미래(ミレ)未来 ここは語中なので 래 がそのまま出ます
내년(ネニョン)来年 ここは語頭なので 래 系が 내 に変わった形だと見ます
労 로(ロ)と 노(ノ)
근로(クンロ)勤労 語中なので 로
노동(ノドン)労働 語頭なので 노
論 론(ロン)と 논(ノン)
토론(トロン)討論 語中で 론
논문(ノンムン)論文 語頭で 논
率 률(リュル)と 율(ユル)
법률(ポムニュル)法律 語中なので 률
효율(ヒョユル)効率 語頭なので 율
列 렬(リョル)と 열(ヨル)
정렬(チョンニョル)整列 語中で 렬
열차(ヨルチャ)列車 語頭で 열
女 녀(ニョ)と 여(ヨ)
녀자(ニョジャ)女子 こちらは文語的で、形として残ります
여성(ヨソン)女性 語頭で 여
これらは「読みが二つある」というより、「単語の先頭に来ると見た目が変わる」だと捉えると整理しやすいです。
ここからが本題の、漢字語で単語を予測するコツです。
やることは3つだけです。
コツ1 二文字に切る
韓国語の漢字語は二文字が基本です。見たらまず二つに割ります。
例
경제(キョンジェ)経済 경+제
환경(ファンギョン)環境 환+경
학생(ハクセン)学生 학+생
문화(ムナ)文化 문+화
コツ2 よく出る音を「語根」として覚える
語根とは、漢字一文字ぶんの音のかたまりです。
単語を丸ごと覚えるより、語根を覚えると芋づる式に増えます。
すぐ使える語根セット
학(ハク)学 학생(ハクセン)学生 학문(ハンムン)学問
문(ムン)文 문학(ムナク)文学 문장(ムンジャン)文章
경(キョン)経、境あたり 경제(キョンジェ)経済 경험(キョンホム)経験
정(チョン)政、正、情の中心 정책(チョンチェク)政策 정상(チョンサン)正常
회(フェ)会 회의(フェウィ)会議 회사(フェサ)会社
사(サ)社、史など 사회(サフェ)社会 사상(ササン)思想
국(クク)国 국가(クッカ)国家 국제(ククチェ)国際
인(イン)人 인간(インガン)人間 인구(イング)人口
심(シム)心 중심(チュンシム)中心 관심(クァンシム)関心
력(リョク)力 노력(ノリョク)努力 능력(ヌンニョク)能力
この語根を、必ず二語ずつセットで覚えるのがコツです。単体より、結びつきで定着します。
コツ3 頭音法則を一度だけ当ててみる
見慣れない単語が来たら、語頭が 율、논、노、내、열、여 なら、元は 률、론、로、래、렬、녀 系かもしれない、と一度疑います。
例
효율(ヒョユル)効率
最初が 율(ユル)なので、率の 률(リュル)系列だと気づける
結果、法률(ポムニュル)法律、확률(ファンニュル)確率と同じ仲間だと分かる
논문(ノンムン)論文
最初が 논(ノン)なので、론(ロン)系列だと気づける
結果、토론(トロン)討論、이론(イロン)理論と同族だと分かる
노동(ノドン)労働
最初が 노(ノ)なので、로(ロ)系列の労だと気づける
結果、근로(クンロ)勤労と同族だと分かる
ここまでが「予測」の基本動作です。
最後に、未知語を推測できるようになるための、具体的な練習方法です。
暗記よりも、予測してから答え合わせ、を繰り返します。
練習手順
手順1 二字に切る
手順2 語根の意味をざっくり当てる
手順3 頭音法則がありそうなら当てる
手順4 全体の意味を一文で仮置きする
手順5 辞書で確認し、外れた理由を一つだけメモする
例題
환경보전(ファンギョンポジョン)
環境+保全だろう、と二字ずつ切る
환경(ファンギョン)環境 は既知
보전(ポジョン)は 보(保)っぽい、전(全)っぽい、と仮置き
全体で環境を保つ話だろう、と予測
確認して一致、で定着
もう一つ
저출산(チョチュルサン)
저(低)っぽい、출(出)っぽい、산(産)っぽい
低い+出産 つまり出生率が低い話だろう、と予測
確認して一致、で定着
大事なのは、当たることより、予測を必ず挟むことです。
予測しないと、対応関係が体に入ってきません。
ここまでを一週間やるだけでも、ニュースの見出しが読める割合が上がります。
語根を増やすほど、未知語が既知語の組み合わせに見えてきます。
もしよろしければ、練習用に、ニュース見出しでよく出る漢字語を三十個だけ選び、語根分解とカタカナ補記つきの小テスト形式に整えることもできます。
