ガイドブックには載っていないことが、旅には必ずあります。
私が韓国に行っていたのは2010年頃のことです。当時を振り返ると、「行く前に知っておきたかった」「これは想定外だった」というエピソードがいくつも浮かんできます。
失敗談も、困り話も、笑い話も——全部ひっくるめて、韓国旅行の実体験を書いておこうと思います。
① 思ったより、寒かった
まずこれです。
韓国は日本のすぐ隣の国だから、気候も似たようなものだろうと思っていました。でも、実際に行ってみると想像よりずっと寒かった。
特に感じたのは、風の冷たさです。ソウルは盆地ではなく風が通りやすい地形なこともあり、同じ気温でも体感温度が低く感じます。日本なら「ちょっと羽織れば大丈夫」な日でも、韓国では本格的なコートが必要だったりします。
旅行の季節にかかわらず、一枚多めに持っていくことを強くおすすめします。軽いダウンや厚手のカーディガンは、韓国旅行のお供として優秀です。
ちなみに韓国の室内は、冬でも暖房がしっかり効いていて暑いくらいのことも。外と中の温度差が激しいので、脱ぎ着できる服装が正解です。
② ひとりごはんの壁
おいしいものを食べることは、旅行の一番の醍醐味だと思っています。
なのに——韓国旅行でその「醍醐味」に、私は何度もたどり着けませんでした。
韓国の食堂は、複数人での食事を前提とした造りになっているところが多い。大きな鍋、テーブルの鉄板、大量のおかず……どれも「みんなでわいわい食べる」スタイルです。
ひとりでお店の前に立って「혼자예요(ひとりです)」と言うと、困ったような顔をされることもあって。そのたびに小さく傷ついていました。
結果として、食事の多くはコンビニになりました。GS25やCUの삼각김밥(おにぎり)、컵라면(カップラーメン)……これはこれで美味しかったし、韓国らしい時間ではありました。でも「もっとちゃんとしたごはんが食べたかった」という気持ちは、正直今でも残っています。
近年は「혼밥(ひとりごはん)文化」も広まってきているそうです。次に行くときは、ひとりでもサムギョプサルが食べられるか挑戦してみたい。
③ タクシーで路上バトルに巻き込まれた
これは当時の旅行の中で、間違いなくトップクラスの「ハラハラ体験」です。
タクシーに乗って目的地を告げ、ひと息ついたそのとき。隣の車線を走っていた車と、私の乗ったタクシーの運転手さんが何かで揉め始めました。
窓が開いて、怒声が飛び交って——そしてトウモロコシ茶が車内に投げ込まれたのです。
私は何もしていません。ただ乗っていただけです。でも完全に巻き添えです。
さらに問題はその後でした。バトルを終えた運転手さんが、明らかに感情のまま荒い運転を始めました。アクセル、ブレーキ、車線変更——全部が荒い。私は心の中で「目的地まで生き延びてくれ、自分」と祈っていました。
無事に到着しましたが、降りた瞬間の安堵感は今も覚えています。
U降りた瞬間、足がふわふわしていました。「生きてる……」と思ったのは、後にも先にもあのときだけです。
念のため言っておくと、韓国のタクシーは基本的に便利で価格も手頃です。ただ、運転スタイルは日本より大胆なことが多い。初めて乗るときは、心の準備を少ししておくといいかもしれません。
④ バスに一人で乗って、ドキドキした
タクシーに懲りて(?)、あるとき路線バスに一人で乗ってみました。
当時の私は韓国語がほとんどわからない状態。「ちゃんと目的地で降りられるか」という緊張から、何度も運転手さんのところへ行って確認しました。
韓国語で何かを言われても、さっぱりわからない。でも身振り手振りと「예(はい)」「아니요(いいえ)」だけを頼りに、なんとかコミュニケーションを取り続けました。
運転手さんには本当に迷惑をかけたと思います……苦笑。
それでも、目的地で無事に降りられたときの達成感は格別でした。たかがバス一本ですが、ひとりでやり遂げた充実感がありました。



たかがバス一本なのに、あんなにドキドキしたことは後にも先にもないと思います。でも降りられたときの「やった!」という気持ちは、観光地で見た景色と同じくらい鮮明に覚えています。
あのとき感じた「韓国語がわかったらどれだけ楽だろう」という気持ちが、私が韓国語を勉強し始めた原点のひとつです。
行く前の想像と、実際のギャップまとめ
私が感じた「こんなはずじゃなかった」と「意外とよかった」を、まとめてみました。
| テーマ | 行く前の想像 | 実際はこうだった |
|---|---|---|
| 気候 | 日本と似たようなもの | 風が冷たく体感温度が低い。一枚多めが正解 |
| ひとりごはん | どこでも入れるはず | 鍋・鉄板系は断られることも。麺・김밥系は◎ |
| タクシー | 便利で快適 | 運転はダイナミック。路上バトルに巻き込まれることも |
| バス | 難しそうで乗れない | アナウンスはあるが韓国語のみ。緊張するが乗れる |
| 地下鉄 | 複雑そう | 4言語表示で思ったより簡単。初心者に最適 |
それでも、また行きたいと思う
書いてみると、困り話や驚き話ばかりになってしまいました。
でも、不思議なことに——こういうエピソードほど、よく覚えているし、よく話したくなります。
ひとりごはんに困ってコンビニに駆け込んだこと。タクシーでトウモロコシ茶を浴びたこと。バスの中で何度も運転手さんに聞いたこと。想像より寒くて震えたこと。
全部がいまとなってはいい話で、全部が「あの国に行ったんだな」という実感の欠片です。
次に行ったら、韓国語でちゃんと話せるようになっていたい。ひとりでもサムギョプサルを食べてみたい。そして怖いけど、レンタカーで自分で運転してみたい。
やりたいことが増えるのは、いい旅をした証拠だと思っています。







